色止めから昔を思い返す中村昌宏の一日
仕込みをしていると、昔のことをふと思い出すことがあります。
かつては割烹で腕を振るっていた身。
でも、今は和菓子職人として60代を過ぎた現在。
過去のことは自分の糧として考えているので、
少なからずは現在の仕事の役には立っていると思います。
たとえば、色止めといって、素材の魅力を引き出す技法があります。
鮮やかな色味を前面に押し出すような魅力は、
料理を見て楽しむという一面を紡ぎます。
色止めをした鮮やかな色味は、
自分にとっても感動が舞い降りる瞬間です。
こんな状況を和菓子でも表現したい!
そう思い始めて試行錯誤を繰り返していますが、
まだまだ納得のいく境地は遠い道のりのようです。
でも、昔の記憶が今の自分にとってプラスになっている今日この頃。
中村昌宏のお店は細々と継続していますが、
心の中では新たな息吹を探してさまよい続けているのです。